仏名会(ぶつみょうえ) 平成30年12月

 今年も早くも12月を迎えることとなりました。
ご存知の通り、12月は「師走」とも言います。諸説ありますが、この「師」には「僧侶」の意味があるそうで、「師走」は「お坊さんが走り回るほど忙しい」という意味が込められているようです。
もちろん、私共僧侶だけでなく、皆さんにとっても忙しいのは一緒だと思います。新年の準備はもちろん、忘年会や、あまり大きな声では言えませんがクリスマスもあります。何かと予定が多くなってしまう12月ですが、大掃除を忘れてはいけません。
 1年の積もり積もった汚れを掃除する大掃除。普段はあまり掃除をしない場所も綺麗にして新年を気持ちよく迎えます。とても大事なことですが、「お家の大掃除」はしても、「心の大掃除」までしているという方はなかなかいないのではないでしょうか。
12月には仏名会(ぶつみょうえ)という仏教の行事があります。仏名会とは、仏の名を称える功徳により、この身に積み重ねてきた罪業(ざいごう)を懺悔(さんげ)し、罪の報いが滅するように願う法要です。阿弥陀様を奉ずる浄土宗ではもちろん南無阿弥陀仏とお称えし、まさに「心の大掃除」を致します。
罪というと大げさに聞こえますが、大なり小なり罪を犯してしまうのが私達です。
例えば、この一年を振り返ってみてもどうでしょう。くだらないことでイライラしてしまったり、人を憎んだり、人の悪口を言ってしまったということはないでしょうか。または、ついつい食べ過ぎたり、飲みすぎたり、必要のないものを衝動買いしてしまったということはないでしょうか。
このように怒りを覚えること、欲深くなってしまうことは些細なことのように思えますが、仏教では罪となります。しかし、罪であると同時に人間ならば誰もが経験のある事ですし、いくら気をつけてもどうしようもありません。

 このような歌がございます。
 「払えども 払えども積む 胸の塵 南無阿弥陀仏の 箒はなすな」という歌です。
 「払っても、払っても、心に積み重なる塵のような罪。その罪を箒で掃くようにきれいにしてくれる南無阿弥陀仏のお念仏は決して離してはいけません。」という意味です。 
 どれほど気をつけても、必ず罪を重ねてしまう私達です。だからこそ南無阿弥陀仏とお称えして、お家の大掃除だけでなく、心の大掃除もされてはいかがでしょうか。