信じ、続ける 令和元年10月

 十月になると気温の低い北海道では紅葉のピークを迎えるところがほとんどです。紅葉の名所は全国各地数多くありますが、一早く私たちを楽しませてくれます。
 木々の様子が、赤や黄というように様々に彩られ染まっていく様に、法然上人は、信仰への深まりを表現されるために次のようなお歌をお詠みになられました。

阿弥陀仏に 染むる心の 色にいでば 秋の梢の たぐひならまし

 これは「阿弥陀仏に染まっていく心が、色に現れ出るというようなことがあるならば、まるで秋の紅葉で木々の梢が染まっていくようなものだろう」ということです。お念仏をおとなえし続けることによって阿弥陀様への信仰心が深まっていくのがわかるお歌です。
「継続は力なり」という言葉がありますが、物事を継続しそれを維持するというのはそう簡単なことではありません。
しかし、昨年まで阪神タイガースで監督を務めていた金本知憲さんはこういうことを言っておられます。
「ビビりだから練習することをやめられなかった。」
 いい結果が出せるかわからない、結果が悪かったらどうしよう、金本さんにとってそんな不安を拭い去る唯一の方法が練習をすることだったのです。「不安」が練習の原動力となっていたのです。またこれを言い換えれば、練習をするということが結果に繋がると信じているから続けられたとも言えるのではないでしょうか。結果に繋がらないと思っていたらそんな練習は続けられないし止めてしまいますよね。
皆様も日頃から怪我や病気の不安があると思います。もし怪我をしたり病気にかかったときは病院へ行くと思いますが、まずは先生の言うことを信じて、言われた通りにすれば治ると信じて治療を受け、それを続けますよね。
人がこの世に生きる以上、先行きを考えると不安と向き合わなければならないことが多々起こります。それが死後のように未知のこととなればなおさらです。しかし阿弥陀様は我々がこの世での命が終わったとき、どんなものでも救って下さり、迷いや苦しみや不安のない清らかな世界、極楽浄土に連れて行って下さるとお誓いになられています。そのための方法が南無阿弥陀仏とお念仏をおとなえすることなのです。
法然上人はそのような阿弥陀様の救いの御力を信じお念仏を続けたことによって、よりそのお誓いが確かなものであることを実感し信仰心が深まっていったのでありましょう。
 皆様ももし死後に不安を感じ苦しみなどのない世界を求めるのなら、「神」様の言う通りならぬ「仏」様の言う通り、間違いなどありません、阿弥陀様のこのお念仏の教えを信じ、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・とおとなえ続けてみて下さい。