戒とお念仏 令和2年2月

仏教の教えには戒というものがあります。

皆様も御存知の方もいらっしゃると思いますが、戒はお釈迦様の教えを守る仏教徒にとって大変大切なものです。

これ失くして仏教徒と申せるか甚だ疑問であります。大智度論(だいちどろん)にも、「戒は仏法の大地なり。一切の功徳これによって成就す。戒を離れては定・慧も存することなし。」と説かれています。私たちの日常生活を整えるために最も必要なことであります。
また、戒を守ることはお釈迦様がこの世に在るのと同じことともされています。

このように大切なものであり、戒を授かることによって名のれるのが戒名であります。
十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)をみてみますと、

1、命あるものを殺害すること。
2、他の人のものを盗むこと。
3、慈しむ心なくみだらな行為をすること。
4、故意に嘘をつくこと。
5、酒を売ること。
5、他人の過ちを語ること。
7、自分をほめて他人をそしること。
8、おしんで求める人に恥をかかせること。
9、立腹して人の謝りを受けないこと。
10、仏法僧の三宝をそしること。

となっておりますが、これだけでも守ることはなかなかに難しいことと思えます。紙面の関係上省きますが、この他に四十八軽戒(しじゅうはちけいかい)等の戒も在り、これらが我々、浄土宗の信者が守らなければならない戒であります。

この戒を守り生活をおくることは、非常に大切なことではあります。しかし、実際には戒に背くこともありましょう。
夏場夜に車の運転をしているだけでも多くの昆虫たちの命を奪っていませんか。

このように我々は日々悪業を積み重ねておりますが、観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)のなかに仏様は南無阿弥陀仏とお念仏をお称えした人は五十億劫に亘って生まれ変わり死に変わりしなければならない程の罪を除いてくださり、私たちをお浄土へと迎えて下さるのです。

何とも有難いことであります。日々お念仏をお称えいたしましょう。