布施 令和6年8月

 お盆の時期になりますと、多くのお寺では施餓鬼(せがき)という法要が営まれます。
施餓鬼という法要は、餓鬼(がき)という目には見えないいつもお腹を空かせている鬼たちに、食べ物や飲み物を施して、苦しみの世界から救うことを目的とした法要です。
 餓鬼たちの住む世界のことを餓鬼道(がきどう)といいます。
餓鬼道は飲むことも食べることもできず、常に飢えと渇きに苦しむ世界で、生前にむさぼりの心の強い人が死後に生まれ変わると言われています。
 むさぼりとは、あれも欲しい、これも欲しいという底なしの欲のことです。
たとえばお金が欲しい、ものが欲しい、地位や名誉が欲しいという私たちの欲の心には限りがありません。
また自分の欲を満たすために他人を騙したり、傷つけたり、遺産相続をめぐって親戚同士が争ったりすることも、欲の心が動機になっていることが多いのではないでしょうか。
 お釈迦様は
「人間の苦しみの原因は欲にある」とおっしゃっています。
 欲に執着し過ぎるあまりに、かえって苦しみのもとをつくっているのですから、欲をはなす行いを授けられたのです。
それが布施行という修行です。
布施と言いますと、お金を思い浮かべる方も多いでしょうが、本来は人のために何かをしてあげることを言います。
たとえば、
⚪︎やさしいまなざしで人に接する
⚪︎にこやかに人に接する
⚪︎人にやさしい言葉をかける
⚪︎自分の体を使って人の役に立つことをする
⚪︎思いやりの心をもって人に接する
⚪︎電車やバスで人に座席を譲る
⚪︎人をあたたかく家に迎える
 これらも仏教徒が行うべき立派な修行の一つであり、私たちの心がけ次第でいつでも行うことができます。 
 お念仏の御教えを信じる私たちにとって、阿弥陀様の極楽浄土に往生することを願い、お念仏を称えることがもっとも大切な修行です。
その上で、普段の生活の中でこうした布施行を実践することも仏教徒として大切なことです。
阿弥陀様の慈悲の光に照らされて、お念仏を称えている私たちです。
 自分以外の誰かにも慈しみの心をもって、布施を行なっていきましょう。