お念仏というお浄土へのナビゲーション 令和5年5月

 令和6年には、浄土宗開宗850年を迎えます。法然上人のご生涯をかけられたお念仏の御教えが脈々と受け継がれ、今へと繋がっております。廃れること無く、無くなることも無く受け継がれていること、有り難いと思うのです。もしこのお念仏の御教えが存在しなかったらどうなっていたのでしょうか。暗夜に灯火を失うが如く、我々は真っ直ぐ仏道を・正しい道を歩むことが出来なかったでしょう。見ず知らずの土地で、ナビもスマホもない、迷っていたに違いありません。
 眼を覆いたくなる事件が毎日テレビや新聞などを賑わせております。親が子供を殺す。子が親を殺す。アクセルとブレーキを間違え事故を起こし人をひいてしまう。爆弾や鉄砲を作り、遊説している偉い方を殺そうとする。本当にこの世は混沌としております。また、世界に眼を向けますと戦争や紛争が各地で起こっている。我々の力じゃ解決できない苦しみの世界なのです。お釈迦様が仰られたようにこの世はまさに苦しみの世界、人間の醜い業によって悲惨な事が起こっている世界です。また、我々がお念仏の御教えに巡り会わずに、この世での命を終えたなら6つの苦しみの世界(天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄)をぐるぐると生きては死に、死んでは生きを繰り返す(六道輪廻)していますでしょう。お釈迦様は、この苦しみを苦しみとして正しく受け止め、信仰の力で乗り越えなさいと仰られております。信仰つまりお念仏の御教えを実践することによって乗り越えなさい。ということです。
 阿弥陀さまのご本願『我が名を呼びなさい。さすれば私の浄土に必ずすくい取るぞ』を信じてお念仏をお唱えするだけでこの苦しみの世界(六道輪廻)から解放され、極めて楽しいところ(極楽浄土)に往き生まれる(往生)ことが出来るのです。人間の醜い業にによって起こる事象も無い、苦しみの全くない世界に往生出来るのです。ある意味、お念仏はお浄土へのナビゲーション。迷うこと無く、道を間違えること無く、外れること無く、正しい道を真っ直ぐに歩むことが出来るのです。
 来年開宗850年を目前にして、あらためてひたすら阿弥陀さまのご本願を信じ、お念仏というナビゲーションのスイッチをオン致しましょう。